「三四郎」、
「それから」の続き。主人公夫婦の感じが良くて、落ち着いて読める。現実的な問題や精神的な問題がいろいろあっても、つつましい生活を淡々と維持しようとしているところが良い。やっぱり心理描写が面白い。
明治の終わり頃の東京の女性は実際にこんなお上品なしゃべり方をしていたのだろうか。「貴方あの事を叔父さんに仰って」(疑問文)とか。庄司薫の小説みたいである。テレビドラマなんかでも1970年頃までは残っていたような気がする。
ところで、同じ新潮文庫でも「三四郎」と「それから」のカバーの絵は明治風だが、この本のカバーをよく見ると電柱や交通標識が立っている。歩行者信号まである。しかもその信号の位置が妙に高い。家の高さと人間のサイズのバランスも変だ。何か隠れた意味があるのかな。
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