2009/12/22

「それから」 夏目漱石 (新潮文庫)


主人公の代助は親の援助を受けながらぶらぶらしている「どっちつかずの男」。いかに生くべきかという理念を追求して、仕事をするなら金のためではない働きがしたいと言いつつ、仕事もしないし縁談も断り続けている。しかし、その状態を維持できなくなってくる。

理念に従いたいが財源はどうするかという問題である。どうするんだろうと思っていたら、どんどん追い詰められていって最後は現実に向き合わざるをえなくなる。代助は30くらいだし、「30歳成人説」みたいな話だ。でも、そこで終わってしまう。続きは「門」で。

最後以外は話の展開があまりなく、代助が勝手なことを考えながらぶらぶらしているだけなのだが、飽きずに読めた。代助が誰かと話をするときの描写では、心理的な駆け引きを詳細に実況解説している。こんなめんどくさい会話はしたくないが、面白い。

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