2006/08/22

「失楽園の向こう側」 橋本治 (小学館文庫)


橋下治が例によってバブル経済崩壊後の日本人のあり方についてじっくりと語り方向性を示している。この人のこういう本はいっぱい出ていて僕はほとんど全部読んでいるのだが、これは一番軽快で面白くて読みやすい。中身は2000年から2003年に漫画雑誌「ビッグコミックスペリオール」に連載されていた文章である。僕はその頃よく昼休みに一人で会社の近くの小さな喫茶店に行って、オムライスを食べながらスポーツ新聞とスペリオールを読んでいたのだった。

冒頭に映画「マトリックス」の話が出てくる。「赤い薬を飲んで真実を見たら貧しいおかゆしか食うものがない」という「マトリックス」の設定があきれるほどリアルで現代人のあり方そのものだという。僕が最近読んだ3冊の本に立て続けに「マトリックス」の話が出てきた。僕も「マトリックス」は小脳論的世界観の映像化であると思っている。

他にも「自分とはボーっとしている状態の中に存在するもの」というような、ほとんど僕が言っているのと同じようなことが書いてあって頷かされる。他にはワールドカップやナカタについての分析(ただし2002年当時の)もあって面白かった。

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