2010/01/11

「マグネシウム文明論」 矢部孝/山路達也 (PHP新書)


海水からマグネシウムを取り出して燃料や電池として使おうという話。太陽光をレンズで集めてレーザー媒質に入れると赤外線レーザーが出るらしい。そのレーザーでマグネシウムを精錬する。

太陽光発電と違うのは、エネルギーをマグネシウムとして簡単に貯蔵・運搬できることである。マグネシウムは既存の火力発電所で燃やすか、マグネシウム燃料電池として使うことができる。

燃料電池の燃料は今のところ水素ということになっているが、水素を貯蔵するには高圧しなくてはならず爆発の危険もある。マグネシウムは固体で置いておく分には危険は無い。また、電気自動車やハイブリッド車に使われているリチウムイオン電池の問題点もマグネシウム燃料電池なら克服できるという。マグネシウムはリチウムよりも豊富にあるし、マグネシウム電池の方が重さ当りの電気容量が数倍多いから電池が軽くなる。

さらに良いのは、海水からマグネシウムを取り出すときに淡水化もできて、世界的水不足の対策にもなるということ。なんか多くの問題が一気に解決できるようだ。この先生はもともとレーザー核融合をやっていた人だが、核融合よりこっちの話の方が有望そうだ。

ところで、僕は去年、取引先の会社から相談を受けて、太陽光を集光するフレネルレンズを設計してみたのだが、レンズ一枚で太陽光を集めるのはなかなか難しいことが判った。太陽の光には色々な色(波長)が含まれていて、一枚のレンズだと色が分かれてしまってうまく一点に集まらない。そこをどうしているのかと思ったら、「そもそも太陽の像の大きさに比べて色によるズレは小さいから問題ない」という意味のことが書かれていた。僕は太陽の大きさのことは考えていなかったので勉強になった。

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