やっと文庫が出た。ずっと前から読みたかったのだが、本の置き場に困るので、最近はなるべく文庫が出るのを待つことにしている。単行本は平成14年出版だから文庫になるのがかなり遅かった。単行本がじわじわと売れていて文庫を出すのが惜しかったのかもしれない。
この前読んだ「素晴らしきラジオ体操」は面白いが一つのテーマを深堀りし過ぎて読むのがしんどい部分もあった。この本ではネタがいっぱいあって読みやすい。上九一色村のオウム問題とか諫早湾干拓問題とか若狭湾の原発問題の現地を丁寧に取材して、マスコミの判りやすい報道とは違うややこしい実態を明らかにしている。今問題の辺野古にも行っていて、米軍基地問題の現場はそういうことになっているのかと蒙を啓かれる。
横山ノック知事のセクハラ事件とか車椅子バスケも取材していて、守備範囲は広いが、基本は当事者の本音を追求するという姿勢で一貫している。それでマスコミ報道と違ったルポになるということは、日本のマスコミは建前を報道しているわけだ。なるほど。
面白いルポを読んでいるうちに、日本の社会問題には何やら共通する構図があるような気がしてくる。珍しい村上春樹の解説付き。
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