「三四郎」が面白かったので、また漱石を読む。「智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。」という有名な文句の続きが知りたかったのである。読んでいくと見たこともないような熟語ががいっぱい出てくる。「澆季溷濁(ぎょうきこんだく)の俗界」とか。漱石は英語教師であって、漢文にも精通していて、現代日本語の文章を作ったわけである。言葉の天才だったのだな。
難しい漢字が続くところは斜めに読むが、ストーリーというようなものはあまりない。主人公の画家が旅に出て、画家の眼で人や景色を見ながら芸術についていろいろ考える。考えるばかりで絵は描かずに漢詩を作ったりしている。教養が邪魔をしている芸術家だなと思っていたら、ラストシーンでちょっとした展開がある。このあとでそれなりに納得のいく絵を描いたのかも知れない。
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