2007/06/04

「愉しい非電化」 藤村靖之


僕は電気を使うことに罪悪感がある。我々が電気を使うには発電所で石油やウランを焚かなければならないが、石油もウランもいろんな意味で清廉潔白とはいい難い燃料だからだ。しかしその罪悪感に殉じて電気を使わない生活に移行するほどの根性もない。極力エアコンを使わないようにしている程度である。

非電化製品なるものを発明して販売もしている人がいると新聞で紹介されていたので、その人の本を読んでみた。電化製品に比べると非電化製品の便利・快適度はやや劣るが、そのかわり環境にも健康にもよいのだという。このへんの考え方はだいたい共感できる。電化製品の電気の使用量についても具体なデータとともに詳細に説明してあり、電化製品というのがいかにエネルギー効率の悪いものであるかということも、改めてよく分かった。

この人の発明の中で一番すごいのは何といっても「非電化冷蔵庫」だろう。水をちょろちょろ流して気化熱で冷える仕組みかなと思ったが、そうではなかった。簡単にいうと、断熱材で覆われた箱の天面から夜空に赤外線を放射することで内部が冷えるという仕組み。真夏の昼でも7~8℃に維持できるという。絶対零度に近い宇宙空間の冷たさによって冷えるわけで、太陽熱温水器の逆である。そんな面白いことがホントにできるのかと思うが、実際に44000円で販売しようとしているし、モンゴルの遊牧民にも技術を提供している。すごいなあ。

著者のサイト「非電化工房」

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