2007/06/27

「ベートーヴェン ピアノソナタ #8,14,23 (悲壮・月光・熱情)」 グレン・グールド


クラシックを聴きかじっているうちに、だんだんピアノ曲ばかり聴くようになり、さらにグールドが気に入って次々にCDを買っている。ルービンシュタインさんの「ベートーヴェン ピアノソナタ」が気に入らなかったので、どういう風に違うか聴き比べてみた。

いつもながら、曲によって極端に速かったり遅かったりする。ルービンシュタインとは演奏時間が±30%くらい違う。一見、グールドが変なことをやっているようだが、グールドの方が細部をキッチリ弾いていて安定感がある。グールドの特徴はこの安定感だと思う。

この安定感はもしかすると科学的に証明することができるかもしれない。グールドの演奏の一音一音を解析して、打鍵のタイミングや音量のばらつきを測定すると、他の人の数分の一程度でした、という結果が出るような気がする。つまり演奏能力が桁違いに優れているのではないか。演奏フォームも変則的だし、イチローみたいなものか?

他の多くの演奏家が曲に入り込んで曲との距離をゼロにしようと努力しているのに対して、グールドは自分の意識を曲から一定の距離に保ち続けているような気がする。そうすることで、この安定感が生まれるのではないか。文章に喩えると、普通の演奏家は叙情的リアリズム文体で、グールドはハードボイルド文体である。

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