2007/05/09

「蹴りたい背中」 綿矢りさ (河出文庫)


「インストール」が面白かったのでこの本も文庫になったら読もうと思っていた。アマゾンから本が届いた夜、居間でウィスキーをちびちび舐めながら読み始めたら、テレビの筑紫哲也の番組で綿矢りさのインタビューが始まった。関西アクセントでおっとりした感じの話し方である。多分京都弁だろうと思って文庫本のカバーに書かれたプロフィールを見ると京都出身と書いてある。主人公の性格にも京都人らしいところが出ている。

「インストール」と同様に今時の子どもの閉塞感のある日常のお話で、視野は狭いが感覚は繊細というところも相変わらず。ストーリーの捉まえ方というか切り取り方がうまい。偶然の扱いもうまい。

朝日新聞のインタビューによると、「書いてる時は夢見てるみたいで、自分の夢なんだけどこの先どうなるかわからない」というのだが、これは村上春樹が言っていることと全く同じである。今後が楽しみだが、大学を出て専業作家になった人が人生経験を積むのに、ミリオンセラーの印税で遊びまくらないとしたらどうするのだろうか。この人はそういう村上龍タイプではないだろうし。

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