2006/12/12

「IT'S A NEW DAY」 矢井田瞳 (2006)


ヤイコの曲はポップだし歌い方にもインパクトがあるのでよくCMに使われるが、CMで流れる部分以外は結構変わったメロディやコード進行が出てくる。最初のうちはその独特の節回しやコードについていけず違和感があるのだけど、何度か聴いているとだんだん耳に馴染んでくる。つまり「ポップ」→「ちょっとヘン」→「自然」という風に印象が変わるのである。パッと聞いて分かりやすいだけの音楽より重層的で飽きない。

歌詞は言葉遊びがいろいろあって面白い。「キッチン」という曲で「ジャガイモ」と「じゃないの」、「ブロッコリー」と「ばっかり」で韻を踏んでいるのが気に入った。歌詞に自分の名前を埋め込んだ曲もある。

「STARTLiNE」という曲に「後悔もジェラシーも」という歌詞があって、前に聞いたような気がするので「CANDLIZE」(2001年)の歌詞を調べてみると「Look Back Again」に「後悔も罪も過去も」とあった。「STARTLiNE」は未来に向かい「Look Back Again」は過去に向かっているが、どちらも時間軸を意識した歌である。岸田秀先生いわく「悔恨が時間を生む」というわけで、ヤイコはいろいろ過去を省みつつ未来に向かう姿勢で歌っているのである。

そう思って歌詞を眺めてみると、ほとんどの曲に「未来」「いつか」「昨日」といった時間を表す言葉が使われている。YUKIの「WAVE」の歌詞に「空」関係の(つまり空間的な)言葉が多用されているのとは好対照だ。

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