養老先生はオタクキャラである。解剖学が専門で昆虫採集マニアでもあるから自然系オタクなわけだが、実はゲームや漫画が大好きなサブカル系オタクの要素もある。
漫画は絵と文字をいっぺんに読むところが日本独特の文化だとか言っていて、「マンガをもっと読みなさい」という本を出し、「京都国際マンガミュージアム」の館長にまでなってしまった。
ゲームについては、養老先生の弟子である美術評論家の布施英利さんから直接聞いたのだが、先生は研究室のパソコンで何時間もゲームに熱中することがあったそうだ。
この本の中にゲームを擁護している箇所がある。ゲームは仮想現実の世界だが、そもそも我々の住んでいる都市というものも仮想現実の世界であり、コンクリートで都市を作るよりゲームの中の世界を作る方が建設コストがかからなくて良いだろうという理論である。
そして、オンラインの仮想現実だったらブータンからでも東北の山奥からでもアクセスできるのだから、田舎に住めとおっしゃる。田舎に住んで実生活では自然に触れて不自由な生活をし、思うようにしたいという欲望はコンピュータ上の仮想世界で解消するべし。要するに晴耕雨読だ。
なんか養老先生個人にとっての理想を普遍化しているような気もするが、よく考えたらこれは名案で、環境、教育、経済など様々な問題に対して新しい展望が開けそうである。
「バカの壁」3部作は口述本だったが、この本も講演の記録だから同じ系統で、スラスラ読める。
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