2005/12/24

「無思想の発見」 養老孟司 (ちくま新書)


養老先生の本はほとんど読んでいるが、これは特に面白い方だった。唯脳論以来、先生は現代社会に批判的なことを言いつつ、「じゃあどうすればいいか」については「自分で考えろ」という態度で一貫していた。それが、この本では初めて(?)「じゃあどうするのか」についても述べておられる。

そもそも先生は日本の社会についていろいろ言いつつ、常に「オレは虫取りさえできればいい、先も短いことだし後のことは知らん」という態度だったが、とうとう日本を憂い、日本の無思想を守りたいとまで仰る。日本には思想が無くて、その代わりに身体技法がある。その方がいいのだという。

小脳論的にいうと、思想は大脳が生み出すもので、身体技法は小脳が生み出すものである。身体技法の方がいいというのだから、養老先生も小脳派なわけである。先生は「脳か身体か」という見方で考えておられるのだが、それは実は「大脳か小脳か」なのだというのが小脳論なわけです。

0 件のコメント:

コメントを投稿