これはなかなか面白かった。さすがにネット企業を成功させた実業家だけあって、川上量生によるネットについての説明は判りやすくて深い。ネットやITビジネスについての文章で、今までに見たなかで一番説得力があった。
特に良いと思う点は、ネット企業の経営者であるにも関わらず、ネットについてバラ色の未来を語らないことである。多くのネット・IT業界人の主張は論理ではなく宗教的な思い込みやハッタリだと批判している。そういうクールな視点で一貫しているところに好感が持てる。
著者はネットの未来について、こうなるべきだという理想やこうなってほしいという願望ではなく、こうなるだろうという予測をしている。特に、ネットによる企業活動のグローバル化が進むと、国家による徴税権や統治権との衝突が起きて、国家はネット鎖国をしようとするだろうというあたりは、なかなかハードな現実認識だ。タイトルはネットの未来だが、ネットが現実社会にこれだけ深く関わっている以上、バーチャル空間の話ではなくリアル社会の問題になってくるわけだ。
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