「Junjo」 (2006)
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ピアノトリオでジャズをやっていて、わりと静かな演奏だけど躍動感がある。普通とちょっと違うのはエスペランサがベースを弾きながらスキャットしているところ。芸術的過ぎてあまり一般受けはしないかもしれないが、美しい音楽だ。
よく聴くと曲調はストレートなジャズという感じではなくて、ラテンとかファンクっぽかったりクラシックな雰囲気もあったりするし、まったくジャンルにとらわれていない。2作目「Esperanza」がラテンっぽくて、3作目「Chamber Music Society」でクラシック、4作目「Radio Music Society」はファンクというのも、実はこのシンプルに聴こえるデビュー作にちゃんと込められていた要素を順番に展開していったということなのだろう。
「Esperanza」 (2008)
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ベーシストよりも歌手としてのエスペランサを打ち出したアルバム。これは非常に質の高いポップスの名盤と言えるでしょう。声が綺麗だし歌はうまいし、活き活きとした表現力もある。しかもメチャクチャ巧いベースも弾いているし(弾きながら歌っている様子は動画↓参照。エレキベースも当然フレットレスですね)、完成度の高い曲も自分で作っている。
曲の雰囲気はラテン調のアレンジが多いですが、それよりエスペランサ本人のキャラクターが強く出ていて、とてもバランス良く落ち着いたサウンドです。録音も非常に良いと思います。
「Chamber Music Society」 (2010)
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アルバムタイトルは「室内楽協会」という感じでしょうか。ジャズのピアノトリオにヴァイオリン、ヴィオラ、チェロを加えてみました。ジャズとクラシックの融合の試み。ジャズは即興性とグルーヴが大事で、クラシックにはそれが無い。融合してどうなったかというと、即興性があまり無くてグルーヴはある。
これはなかなか素晴らしい。静かで美しくカッコイイ音楽です。なんかすごく新鮮に聴こえる。でも、前作「Esperanza」のようにポップではありません。1作目「Junjo」の続きで芸術性を追求しているようだ。
「Radio Music Society」 (2012)
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ミュージシャンとしてのエスペランサのキャラクターは、最初「歌うジャズベーシスト」でした。「Chamber Music Society」で「作曲家」を前面に持ってきたが、2010年のグラミー最優秀新人賞で有名になり、その勢いでこのアルバムでは「ソウル歌手」として売り出しているようで、ジャケットにベースが写っていないのは初めてです。このアルバムで2013年最優秀ジャズ・ボーカル・アルバム受賞。
「Junjo」と「Chamber Music Society」では芸術路線だったが、今回は「Esperanza」に続くポップ路線に戻った。「Esperanza」のラテンの感じではなくファンクっぽくなって「Esperanza」よりポップです。録音状態も変わり、「Esperanza」はスタジオライブのようなオフマイクで少し残響のある音だったが、今回はオンマイクで残響の無いデッドな音。なんか'70年代ソウル風に聴こえて、なかなか良いです。
ベースマガジン 2011/4月号 エスペランサ特集あり
「Emily's D+Evolution」 (2016)
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これは凄い、大傑作ですよ。エスペランサのアルバムはこれまで、ジャズ、ラテンポップ、ジャズとクラシックの融合、ソウルというスタイルの変遷を経ていますが、今回はロックを取り入れたサウンドです。ファンクやジャズの要素もあり、シュールなアレンジもありながら、全体としてはポップ。創造的で技術的にも難しいことをやっているのに判りやすく聴かせる、すごい才能だ。
ちなみに、Emilyはエスペランサのミドルネームで、夢に出てきたオルター・エゴ(もう一人の自分)だそうです。D+Evolutionはevolution(進化)とdevolution(退化)をくっつけたもの。
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