副題は「音楽心理学への招待」。音楽心理学というジャンルの様々な研究を広く紹介する本。僕が音楽について考えているいろいろなギモンに答えてくれた。
例えば、楽器の演奏によって喜びや悲しみなどの感情を表現し、聴き手に伝えることができるかという実験がある。それは可能だそうだ。テンポや強弱によって感情が伝わる。ただし、フルートで怒りを表現しようとしても、喜びに聞こえたりするらしい。
何度も聴いているうちに音楽の印象が変わる理由についての研究もある。まず、人間は刺激の複雑性が中くらいのときに最も快く感じるという「バーラインの最適複雑性モデル」を仮定する。同じ音楽を何度も聴くと、慣れて複雑さが減るように感じるわけだから、元々複雑度が大の音楽は聴けば聴くほど複雑度が中くらいに近づいて快くなる。逆に複雑度が中の音楽は聴いているうちに複雑度が下がってつまらなくなってくるわけである。この話は
僕の芸術論にやや通じるものがある。
他にも好きな音楽を聴いているとつらい作業に長時間耐えられるとか、ややこしいことをするときには単純な音楽を好むとか、どうでもいいような役に立つような研究もあって面白かった。
(追記)この本を読み終えて、当時高校生だった音楽好きの息子に譲ったのだが、その後、息子は大学でこの本をテキストにした授業を見つけて履修していた。
0 件のコメント:
コメントを投稿