2009/08/08

「Modern Art」 アート・ペッパー (1956)


'90年代の初め頃にジャズのレコードがCD化されたのがきっかけで、ジャズを聴き始めた。スイングジャーナルを読んでタワーレコードに通い、いわゆる名盤を100枚くらい買った。3年くらいで僕のジャズ・ブームは終了したのだが、その中で最も気に入った3枚のアルバムのうちの1枚がこれ。

最近なぜか個人的にジャズ・ブームが再燃して、そういえばアート・ペッパーが良かったなと思い出して何年かぶりに聴いてみると、昔聴いたときよりもさらに気に入った。ベースと2人だけで演奏する「Blues In」で始まって、最後にそれと呼応する「Blues Out」で終わるというアルバムの構成も良い。CDにはその後にボーナス・トラックが付いているが、録音状態も違うし完全なぶち壊しになっているので別物として聴きたい。ともかくやっぱりアート・ペッパーの良さを再認識したので、他のアルバムも聴き直し、持っていないアルバムを買い足すのが楽しみになってきた。

この人のアルト・サックスは音色が良い。サックス本体の金属管は余り鳴らさず、リードと息が鳴っている感じがする柔らかい音なので、速いフレーズを吹いてもうるさくない。このアルバムを聴いていると、感じの良いジャズ・バーにいるような気がしてくる。木製のカウンターと白熱灯の照明が思い浮かんで気分が和む。僕がそういうところにたまに行ったのは'80年代のことで、まだジャズは全然知らず、誰の曲が掛かっているのか判っていなかったが、今にして思えばこんな感じだった。BGMとしても良いし、真剣に聴いても飽きない。

録音は'56~'57年。'60年代のロックも'80年代のポップも今聴くと古いが、ジャズは古くならない。生楽器の音が良いからだろう。では、なぜジャズは廃れてしまったたのだろうか。音の雰囲気の可能性が開拓し尽くされたからだと思う。今、誰かがこういう雰囲気で演奏したとしても、古臭く感じるはずだ。ということは、純粋に音を聴いているのではなく、いつ演奏されたのかを意識したうえで聴いているわけだ。

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