2006/07/11

「あのひとと語った素敵な日本語」 あのひと+ユビキタ・スタジオ


覆面雑談と称して、某有名作家の奥さんと編集者の雑談をまとめた本。いろんな言葉をお題に連想ゲームみたいなことをやっているのだが、この企画のコンセプトというか必然性みたいなものがもうひとつ曖昧である。編集者が自分の話をしだすのも余計だ。

「あのひと」が誰なのかはこの本のどこにも書かれていないが、実は彼女は村上春樹の奥さんのヨーコさんなのだった。何で作家の奥さんであるというだけでこんな本を出すのかという疑問もわくが、この奥さんはものの考え方がすごく明晰でやや過激というか極端なところもあり、キャラクターとしてかなり面白い。村上春樹の小説に出てきそうである。

村上春樹のエッセーに書かれているエピソード(昔ジャズ喫茶をやっていて苦労した話とか、夫婦喧嘩のこととか)もいろいろ出てきて楽しめたが、村上春樹のコアなファン以外にはあまり値打ちが無いかもしれない。ヨーコさんは岡本太郎にとっての岡本敏子さんみたいに村上春樹の仕事のサポートをしていてとても忙しそうだ。ヨーコさんのキャラと現在の仕事の状況に焦点を合わせたら、もっと広く読まれる本にできたと思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿