2012/08/26

「独立国家のつくりかた」 坂口恭平


この人は建築学科卒の建築家でもあるのだが免許は持っていないそうである。この人の建てる家は路上生活者が住んでいるような小さな家で、車輪が付いている。建築基準法によると、家というのは土地に定着しているものなので、車輪が付いていると家じゃなくて車両になる。だから建築士の免許が無くても建てられるし、固定資産税も取られない。

著者は別にみんなで路上生活者のような家に住もうといっているわけではない。この小さな家はホームセンターで資材を買ってくれば3万円でできる。では30万円、300万円掛けたらどれくらいの家ができるはずなのか。何千万円もする家というのは何なのかという問題提起である。

著者は近年原発問題にも関心を持つようになり、2011年3月3日に飯田哲也氏を呼んでインターネット番組を配信する。そこで飯田氏は福島県双葉町の原発に津波が来たら破壊されると警告し、3月12日に本当に原発が爆発した。著者は放射性物質の危険を伝えない政府は政府でないと認定のうえ、東京から実家のある熊本に移住し、そこで新政府を設立した。新政府首相官邸として借りた家に東日本からの避難者百人を自費で受け入れる。

著者の主張は現代の常識からするとかなりシュールな妄想のようにも見えるが、話を聞いてみると非常に深い思考と調査研究に基づいた考えであり、常識の方がよほどおかしいということが分かってくる。

著者は土地の所有に疑問を持っている。いきなり新政府総理を名乗る。そのあたりの考え方は僕の「世界を自分のものにする方法」に通じるものがある。

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