2010/03/26

「風の谷のナウシカ」 (全7巻) 宮崎駿


映画の「ナウシカ」の話には続きがあるとは聞いていたが、続きの方がずっと長い。映画のストーリーはコミック7巻のうちの2巻までである。読んでいくと、話がどんどん深く複雑になっていく。ずっと戦争をやっているのだが、敵味方関係がややこしくて理解できない。理解できないまま引き込まれて、物語世界の混沌が実感として迫ってくる。その混沌は今の現実世界の混沌とシンクロしているような気がするのだが、それがどういうことなのかハッキリとは判らない。これはもう何回か読むしかなさそうである。

全体の印象は映画でいうと「ナウシカ」そのものより「もののけ姫」に近いような気がする。「もののけ姫」は宮崎映画の中では例外的に空を飛ばない話ので、雰囲気が重い。コミックの「ナウシカ」は空を飛びまくるが、映画じゃなくて静止画だから浮遊感が無い。それでどちらも重厚なのだが、話のスケールはコミック「ナウシカ」の方が壮大だ。宮崎駿の映画の中で最高傑作は「もののけ姫」だと思うが、コミックの「ナウシカ」はもっと傑作かもしれない。

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