2010/02/19

「邪悪なものの鎮め方」 内田樹


面白い。ウチダ先生も身体で考えることについて考えている人だから、いろいろ共感できる点が多い。

今現在の世界はパンドラの箱が開いたような状況なので、我々は邪悪なものとの付き合い方を考えなくてはならない。一番邪悪で扱いに困るのは「自分への呪い」である。

何かズルをしたり他人を騙したりして利益を得る人は、「自分と同じような人間」が他にいない方がより大きな利益を得るので、「自分のような人間は世の中にいない方が良い」。そういう存在であり続けていると、そのうちに「自分は世の中にいない方が良い」と思うようになってしまう。それが「自分への呪い」である。

「道徳律というのは… 世の中が「自分のような人間」ばかりであっても、愉快に暮らしていけるような人間になること… それが自分に祝福を贈るということである」 と書いてある。なるほど。そういえば、カントがそんなことを言っていると高校生の頃、同級生が教えてくれたような気がする。調べてみると「汝の意志の格率が常に同時に普遍的な立法の原理として妥当しうるように行動せよ」だった。同じことかな?

この本は無料で公開されている著者のブログからテーマに沿う文章を抜き出してまとめたもの。なるべくそういう本は買うまいと思っているのだが、今回は面白かったのでまあよしとする。

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